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ビームライン等で使用される従来のX線や粒子が透過する窓では、「口径の大型化」と「高耐圧性(数MPaクラス)」の両立が構造的・材質的に極めて困難でした。また、従来の金属切削窓では、大口径で薄い窓を作ることに技術的な課題がありました。
今回は、金属積層造形技術を駆使して新たに実用化された、大口径でありながら超高耐圧性を持つ、新型の大口径・高耐圧の湾曲窓をご紹介します。
本開発では、金属積層造形(3Dプリンタ)技術を活用し、構造力学的に耐圧性に優れた「球殻(ドーム)構造」を採用し、窓は薄型かつ大口径のまま、高耐圧性を実現しました。
平板の窓は、圧力を曲げ応力として受け止めます。これに対して球殻形状の窓は、圧力を面内の圧縮・引張応力として受け流すため、同じ厚みでもはるかに高い耐圧性能を発揮します。さらに、応力が集中しやすい端部は厚みを増した形状とし、応力の低減を図っています。
金属積層造形により、窓とフランジ・構造体を一体で造形しています。接合部そのものが存在しない構造は、リークリスクの根本的な排除につながります。
| 材質 | 方式 | 窓厚み | 口径 | 耐圧(凹面) | 耐圧(凸面) |
|---|---|---|---|---|---|
| Ti-6Al-4V(チタン) | JIS-VFフランジ一体型 | 0.5 mm | 269 mm | 3.0 MPa | 0.15 MPa |
| Al-Si10-Mg(アルミ) | 溶接フランジ一体型 | 1.0 mm | 230 mm | 1.2 MPa*¹ | 0.15 MPa |
*真空リーク試験:窓本体を透過するリーク量、VFフランジの金属Oリングでのリーク量、溶接部でのリーク量はすべて検出下限以下 *¹測定時、t=0.7mm
※ 各元素の標準的な質量減衰係数(NIST準拠)および材料密度(Ti-6Al-4V: 4.43 g/cm³、AlSi10Mg: 2.68 g/cm³)をもとに算出した単色X線での理論値です。
「超高耐圧」「大口径」「一体造形によるリークフリー」という特性は、ビームラインに限らず、様々な最先端分野で応用可能です。
ガス置換した容器中の対象物のX線透過試験。従来より大きな窓で検査の自由度を大幅に増強します。
超伝導磁石を真空容器内に組み込んだ時に、予期せぬ事象で液体ヘリウムが真空中に放出されると急激な圧力上昇が起き、耐圧の低い薄板部が破裂し、大規模な事故につながります。耐圧性能の高い窓は、安全性の高い運用を実現できます。
薄型であるため、従来よりも軽量化が期待できます。交換が必要な場所のフランジを軽量化することで、保守の効率化を高めます。
本研究はKEK共同研究(金属技研)(2016年度~)「次世代陽子加速器における標的・ビーム窓に関する共同研究」、JSPS科研費挑戦的研究(萌芽) 21K18632 の助成を受けたものです。本技術は知財申請済です(以下、特許情報を参照)。
現在、この「大口径・湾曲窓」については、大学・公的研究機関における特注実験装置への組み込み、および検査装置メーカー様における次世代コンポーネントとしての評価採用(量産前提の共同開発)を広く募集しております。詳細な設計データ、強度の実証データ等のご提供、およびチャンバー筐体も含めた一体設計のご相談も承っております。詳しくはコスモ・テックWEBお問合せフォームよりご相談ください。