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失敗事例
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失敗事例#25 真空計はポンプの近くに設置するべきか、チャンバーの近くに設置するべきか

失敗事例 – 真空計設置位置

0. 教訓

「ポンプ口は理想、チャンバーは現実。現実を測らないと、判断を誤る。」

1. 事例内容

ある装置メーカーは、ポンプのすぐ近くに熱陰極電離真空計(ホットカソード)を設置していました。表示はいつ見ても1×10-5 Pa前後で「十分いい真空だ」と誰もが安心していました。ところが、試料や温度、流量などの条件を変えていくうちに、肝心の実験結果がだんだん悪くなってきました。

「チャンバーの中だけ真空が悪いのでは?」という不安が広がり、真空計をチャンバー近くに移して確かめることにしました。点灯した瞬間、フィラメントが焼けてアウト。慌ててピラニ真空計で測り直すと、チャンバー側は1×10-1 Pa(0.1 Pa)。ポンプの表示は良いのに、チャンバーは桁違いに悪かったのです。

失敗した人の声

「ポンプ側の数字がいつも安定していたから、システム全体が良い状態だと思い込んでいました。実験結果が徐々に悪くなっても『条件設定の問題だろう』と楽観視していたんです。」

「チャンバー側に真空計を移した瞬間、高い音とともにフィラメントが光って消えた時の衝撃は今でも忘れられません。一瞬で高価な真空計を壊してしまい、さらに実験も止まってしまった。」

「測る場所によって真空度が桁違いに変わることを身をもって学びました。今では必ずチャンバー近くで測定し、点灯前にはピラニで安全確認を徹底しています。」

2. 原因

問題の根本は配管による「コンダクタンス(流れやすさ)」の制限でした。ポンプとチャンバーの間には、長くて細いフレキシブル管が設置されていました。これは、太いホースと細いストローで水を吸う違いのようなもので、同じ吸引力でも細い管路では流量が大きく制限されます。

真空ポンプは確実に動いているため、ポンプ直近の圧力は低く保たれます。しかし、細いフレキ管を通ってチャンバーからポンプまで気体分子が移動する速度は遅く、結果としてチャンバー内の圧力が高いままになってしまいました。数字は嘘をついていません。見ていた場所が間違っていただけでした。

さらに、ホットカソードは高めの圧力で点灯すると壊れやすい機器です。今回は、チャンバー側が思ったより高圧だったのにそのまま点灯してしまい、フィラメント焼損に直結しました。本来は、ピラニで十分低いことを確認してからホットカソードを点灯するのが安全手順でした。

3. 影響・被害

高価な熱陰極電離真空計のフィラメント焼損により、機器交換が必要となりました。実験も中断を余儀なくされ、スケジュールに遅れが生じました。また、実験結果の悪化原因を特定するまでに時間がかかり、不良品の量産リスクがありました。

4. 防止策

現場で守る”3つの約束”

1. 測る場所は”使う場所”に寄せる。迷ったら、まずはチャンバー側を候補に。

2. 点灯は順番どおり。先にピラニで十分低いことを確認 → それからホットカソード。

3. 配管を甘く見ない。フレキはなるべく短く・太く・曲げ少なく。「細長いストロー」は離れた場所の真空を悪く見せます。

予防のコツ(明日の自分に渡すメモ)

“代表点”を図に描く。どの数字で合否を決めるか、紙に書いてチームで共有。

相関ノートを作る。ポンプ側Xのとき、チャンバー側はY。条件を変えたら必ず更新。

単位と表記を統一。1×10-1 Pa(0.1 Pa)など、読み手が迷わない書き方に。

5. 再発防止チェックリスト

  • ✅ 真空計設置位置:チャンバー近くを第一候補として検討済み
  • ✅ 代表測定点:どの数字で合否判定するか図面で明確化済み
  • ✅ 相関データ:ポンプ側とチャンバー側の圧力相関を取得・記録済み
  • ✅ 点灯手順:ピラニで安全確認後にホットカソード点灯の手順確立済み
  • ✅ 配管設計:フレキ管は最短・最太径・最小曲げで設計済み
  • ✅ 単位統一:真空度表記を1×10^-1 Pa(0.1 Pa)形式で統一済み
  • ✅ 条件変更時:実験条件変更時の相関確認手順確立済み

6. 真空計はどこに設置するのが一番良いのか。

真空計設置位置の基本方針

基本方針:管理したいのがチャンバーで“使える真空度”なら、チャンバー近くに代表点を置くのが筋です。数字がプロセスの実感とズレにくくなります。

ただし例外も:高温・反応性ガス・強磁場・放射線など、チャンバー直近に置けない/置くと保守が大変な環境もあります。そんな時はポンプ側に置き、「チャンバーとの相関」(この値ならチャンバーはこれくらい、という関係)を取って指標管理する方法も現実的です。

大事なのは“目的”:実験の目的は「チャンバーの数字を良くする」ことではなく、実験に使える状態を安定させることです。プロセスが一定ならポンプ側管理でも回りますが、条件変更のたびに相関がズレないか確認が必要です。

7. チャンバーに真空計を取り付ける場合

チャンバーの中は基本的に一定の圧力のためどこで測っても同じです。(アウトガスの多い部品の近く、などという特殊な状況出ない限り。)チャンバーの下に取り付けてしまうとパーティクルなどが入り真空計が壊れる原因になるため、おすすめしません。

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