研究室の棚に並ぶ真空フランジやベローズは、一見するとただの金属パーツです。ところが、その一つひとつが最新型ノートPCやハイエンドスマートフォンを丸ごと買えるほどの値段だと知った瞬間、手のひらの力加減が変わる学生を何度も見てきました。
例)「このNW40ビューポートは12万円。MacBook Air一台分だよ」
例)「このφ200ベローズは30万円。君の月収より高いかもしれない」
価格を身近なモノに置き換えて示すと、抽象的な金額よりも実感を持って受け止められます。
表示方法 | 学生の受け取り方 | 効果 |
---|---|---|
マジック手書き | 「使い捨てのメモ?」 | 数日で薄れる、雑に扱われがち |
テプララベル | 「正式な注意書き」「高価・重要」 | 長期にわたり視界に入る→丁寧に扱う |
以下に、実際に発生した3つの失敗事例をご紹介します。
どれも「一瞬の気のゆるみ」から生まれた高額な損失です。
フィードスルー用ソケットコンタクトを、マニュアル確認を怠り逆方向から挿入。抜け止め爪が引っかかり除去不能となり、インサート全体を再製作。
被害総額:約20万円(部品再製作・納期遅延)
真空部品は、壊れた瞬間に高額の修理費や長い納期という形で研究の時間とモチベーションを奪います。
値段を伝え、ラベルで見える化し、扱い方をルール化する――この三つを徹底するだけで、部品は「ただの金属」から「自分の大切な資産」へと変わります。
次にフランジを手に取るとき、“これは最新スマートフォン2台分”と心の中でつぶやいてください。それだけで、あなたの指先は確実にやさしくなります。