クリックでPDFを開きます
0. 教訓
「入った=正しい」ではない! 機械部品の組み立てでは、「スムーズに入った」「引っかかりがない」ことは必ずしも正しい方向である証拠にはなりません。
挿入前の確認を習慣に! 特に電気接点部品やフィードスルーのような精密部品は、挿入方向を一度間違えると元に戻せないこともあります。
1. 事例内容
真空用フィードスルー(真空容器内に電気信号を伝送するための端子)に使用するソケットコンタクトを、誤ってインサート(絶縁体)に逆方向から挿入してしまった事例。一見、奥まで入ったように見えたが、本来の方向ではなかったため抜けなくなってしまった。
ある新人作業者が、図面やマニュアルをよく確認せず、感覚的に「入りそうな方向」で差し込んでしまった。ソケットコンタクトは「逆向き」でも物理的には入る構造だったが、羽(抜け止め爪)がインサートに引っかかり、工具を使っても抜けなくなるという状態に陥った。
失敗した人の声
「マニュアルなんて見なくても、形を見れば分かるだろうと思い込んでいました。ソケットコンタクトがスムーズに入ったので、『よし、うまくいった』と安心してしまったんです。」
「しばらくして先輩に確認してもらった時、『これ逆だよ』と言われた瞬間、頭が真っ白になりました。引き抜き用工具を挿し込んでも全然抜けなくて、手が震えました。」
「インサートを再度購入することになり、納期が数週間遅れてしまいました。お客様にも迷惑をかけて、自分の軽率さを深く反省しています。それからは、どんな簡単な作業でも必ずマニュアルを確認するようになりました。」
2. 影響・被害
- インサートと挿入したケーブルとソケットコンタクトが使い物にならなくなった(分解困難)
- 再製作に2~3週間の納期遅延が発生
3. 防止策
作業前には必ずマニュアルの確認を行い、それでも分からないときは先輩に相談する! 「これでいいかな?」と迷ったら、恥ずかしがらずに手を止めて確認。それが最も効率的な作業です。
4. 再発防止チェックリスト
- ✅ 作業前マニュアル確認:ソケットコンタクトの挿入方向をマニュアルで必ず確認する
- ✅ 部品方向の目視確認:コンタクトの向きを物理的に確認してから挿入する
- ✅ 工程内チェック:作業完了前に挿入方向が正しいことを第三者が確認する
- ✅ 疑問時の相談:少しでも不安を感じたら作業を止めて先輩に相談する