0. 教訓
VCR® 継手は「一発勝負の精密シール」。――ガスケット無しは即アウト。
1. 事例内容
VCR®継手にガスケットを装着せずに締結し、継手を使用不能にした例。
項目 | 内容 |
発生場所 |
半導体製造装置・真空配管ライン |
使用部品 |
Swagelok® VCR® ステンレス継手(3/8 in.) |
失敗内容 |
ガスケット未装着のまま締結 |
主な結果 |
真空リーク/シート面の圧痕・変形 → 継手交換(作業停止 + 追加コスト発生) |
失敗した人の声
「『ガスケットはナット側に入っているはず』という思い込みで、確認せずに締めてしまいました。リークテストで全く下がらず青ざめました」
「セット品だと思い込み、台紙に付いたままのガスケットを取り忘れました。VCR®は一回限りのシールと知らず、普通の継手の感覚で…」
2. 原因
階層 | 具体的要因 |
直接要因 |
– ガスケット未装着のまま締付け(目視確認を省略) – 過トルクでの締付けによりシート面が塑性変形 |
間接要因 |
– VCR® 継手は「1 回限りシール」であるという構造理解不足 – 部品管理の不備でガスケットが作業場と離れた場所に保管 – チェックリスト不備(ガスケット点検項目なし) |
根本要因 |
– 作業者教育と OJT が手順中心で原理説明が不足 – 作業前の ピアレビュー(相互確認)文化不定着 |
3. 影響・被害
- 継手 4 組を交換:部品代 ≈ 6 万円
- 装置停止 0.5 日:リーク箇所の特定に時間がかかった
4. 再発防止チェックリスト
- ✅ VCR®継手の「1回限りシール」構造を理解した
- ✅ ガスケット1枚の重要性を認識した
- ✅ ガスケットは台紙から外したその場で1枚のみ挿入する
- ✅ シート面に傷・ゴミがないことを確認する
- ✅ 目視+指差呼称による確認方法を習得した
- ✅ 適正トルクでの締付の重要性を理解した
- ✅ トルクレンチ設定値を事前確認する
- ✅ 締結後にヘリウムリーク検査を実施する(目標:≦1 × 10⁻⁹ Pa·m³/s)
- ✅ ピアレビュー(相互確認)の習慣を身につけた
- ✅ 部品管理の5S(整理整頓)を実践する意識を持った