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はじめての真空技術入門

はじめての真空技術入門

このページは、真空をまったく触ったことのない学生・新入研究者が抱く「真空ってそもそも何?」という疑問を解消し、装置選びと実験トラブルを防ぐための基礎知識をまとめています。数式ではなく、イメージと言葉で”圧力の世界”を旅してみましょう。

1. 真空の世界へようこそ ―― 圧力を感じ取ろう

地上で私たちは常に 1 atm ≈ 101 kPa の空気に押されています。真空とはこの圧力を どこまで小さく抑えられるか を競う技術です。単位は SI では Pa(パスカル) が正式ですが、現場では mbarTorr も併用されるため、相互換算に慣れておくと便利です。

例えば 1 Pa は 7.5 × 10−3 Torr、0.01 mbar に相当します。桁が多くてピンと来ない? そんな時は “大気圧を 100 000 Pa として、あと何桁下げるか” と覚えましょう。

圧力単位換算表はこちら
コラム:宇宙は究極の真空?
地球低軌道(高度 400 km)の気圧は約 10−7 Pa。実験室の超高真空チャンバなら、ここからさらに 3〜4 桁 低い圧力が実現できます。つまり、研究室の装置は宇宙空間より空っぽになるのです!
知っておきたい:真空の区分
  • 粗真空: 105〜102 Pa
  • 中真空: 102〜10−1 Pa
  • 高真空: 10−1〜10−5 Pa
  • 超高真空: 10−5〜10−9 Pa
  • 極高真空: 10−9 Pa以下

2. ポンプは”階段”で考える ―― 段階ポンピング

大気を一息に超高真空へ引き抜ける「夢のポンプ」は存在しません。そこで、圧力レンジに合わせてポンプを階層的にリレー接続するのが一般的です。

ポンプの特徴

  • 荒引きポンプ(油回転ポンプ、ドライポンプ 等)
    — 大気圧→102 Pa
    — 要:オイル管理シールチェック
  • 高真空ポンプ(ターボ分子ポンプ・油拡散ポンプ 等)
    — 102 Pa → 10−5 Pa
    — ベアリング温度・背圧上昇に注意
  • 超高真空ポンプ(イオンポンプ、クライオポンプ、NEGポンプ 等)
    — 10−5 Pa 以下
    — 「吸う」より捕獲・反応・凍結で分子を”消す”
ポンプの選び方ヒント:目的の真空度と排気すべきガス種(水蒸気、窒素、希ガスなど)に合わせて選定することが大切です。特に水蒸気が多い系ではドライポンプが有利です。

3. 継手・シールを征する者が真空を制す ~ リークの原因について

真空システムの不調原因の7〜8 割はリーク。しかも高価なポンプではなく、数百円のOリングが犯人というケースが多数です。
その他、端子の溶接が甘くリークするケースや鋳物を研磨することで孔ができて素材からリークするなどもあります。

3‑1  Oリング系(フランジ規格:NW/ISO/JIS)

  • 材質:FKM(フッ素ゴム)が主流。150 °C 以上でアウトガス激増。
  • リークの主な原因:クランプ半掛かり、指紋付着、縦傷。
  • 対策:クランプを軽く揺すって全周噛み込み確認、IPA でシール材及びシール面の拭き取り、傷の確認。

3‑2  金属ガスケット系(フランジ規格:ICF)

  • 材質:銅ガスケットが主流。アルミやニッケルなどもある。
  • リークの主な原因:片締めで隙間、指紋付着、縦傷
  • 対策:ボルト締めは対角締めを徹底する。作業方法はこちら。ガスケット再利用の禁止

継手/ねじ別・到達真空度の目安早見表

※真空度は目安です。ポンプの種類やチャンバー内のアウトガス状況によって大きく異なります。

継手・シール方式 主なシール材 推奨真空度目安
NW (KF) フランジ FKM / NBR O‑リング 〜10−3 Pa
ISO‑K / ISO‑F フランジ 同上 〜10−3 Pa
JIS‑VF / VG フランジ 同上 〜10−3 Pa
ICF (ConFlat) フランジ 無酸素銅ガスケット 〜10−10 Pa(超高真空)
Swagelok 2‑フェルール継手 SUS フェルール 〜10−6 Pa
VCR® メタルガスケット Ni / SS / Cu ガスケット 〜10−10 Pa(超高真空)
テーパーねじ (NPT/Rc) PTFE シールテープ 〜100 Pa(粗真空)

4. 素材とアウトガス

真空中では固体からも分子(主に水分)が滲み出します(アウトガス)。水蒸気や炭化水素は超高真空域を支配するため、材料選定が到達圧力を左右します。

アウトガスが少ないおすすめ材料

  • 無機材:SUS304/316L、アルミ 6061、無酸素銅
  • 樹脂:PEEK、PTFE、ポリイミド(カプトン)

PVC・ABS などは常温でも揮発分が多く、高真空には不向きです。

アウトガスを抑える基本
  • 可能な限り樹脂品は使用しない
  • 脱脂洗浄(アルカリ洗剤+超音波 → 純水リンス)
  • GBB ブラスト:酸化皮膜を除去し表面を均一化
  • バフ研磨:バフ#200や#400で鏡面化
  • 電解・化学研磨:凸部を選択溶解し不動態化
  • ベーキング:100–200 °C / 12–48 h(超高真空は 150 °C 以上推奨)

まとめ

真空技術の基本は ポンプ・継手・材料・表面処理 の 4 本柱。ポイントを押さえて、研究室でも宇宙空間を凌ぐ真空環境を実現しましょう!

真空実験のトラブルシューティング 3 カ条
  1. 圧力上昇は「リーク」と「アウトガス」のどちらかと考える
  2. リーク検査はガス種を変えて複数回実施
  3. 装置設計時に手入れのしやすさを最優先する
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